ビル・ゲイツやジャック・ドーシー、マーク・ベニオフにリード・ヘイスティングスまでもが絶賛する伝説の投資家レイ・ダリオによる超極厚本の前半部分(人生の原則)だけ読みました。
世界最強レベルの投資家ということもあり、人生に関しても非常に深く考察され、体系化されたアドバイスを一冊にまとめてくれています。
かなり文章量が多い本になるので気になる方は本記事を読んでから購入を決めてみるのも良いかと思います。
『プリンシプルズ 人生と仕事の原則』PARTⅡ「人生の原則」から個人的に学んだ3つのこと
1. 人生の原則を付け加えていくことによって意思決定の精度を高めることができる
2. 目標を[マシン]、[デザイン]、[ワーカー]の3つで見立て、行動していく
3. 直接的原因と根本原因を見分け、問題を解決するためには根本原因を取り除く必要がある
人生における原則の重要性について
人生の失敗の大半は自分を客観視しないことによって起こるため、意思決定の基準を「わかっている、私は正しいんだ」から「私は正しいとどうすればわかるか」に変えるために良い原則を持つ必要がある。
原則がなければ人生でぶち当たる全てのことに初めて遭遇する経験であるかのように対応せざるを得なくなる。状況をタイプ分けし、それらに対応する原則を持つことで良い判断を素早く下すことができるようになる。
いわば、良い原則のパッケージを持つことは成功のレシピを持つこと。同様の状況であれば、人生の原則を生かして何度も繰り返し目標達成のために使うことが可能になる。
人生の原則を付け加えていく
様々な形で自分自身の原則を作り上げる。自分自身の経験や反省、親など周りの人からの教え、宗教や思想などのようなパッケージをそのまま適用することもある。
他の人の原則を使うのは悪いことではないが、深く考えずに使うと自分に合わないものとなり、目標達成の妨げになる。
経験から、意思決定の基準をよく考え、書き記すことがいかに重要か身にしみた。だからそうする習慣を身につけた。時間とともに、原則のコレクションは、意思決定のレシピのコレクションのようになってきた。
人生の捉え方: 高いレベルからマシンを見る
高所に立ち、自分や他の人の状況を客観的に見る能力を「高次元の思考」とレイ・ダリオは呼ぶ。
高次元の思考により、因果関係が人生にどう影響を与えているかがわかり、それを理解することで望んだ結果を得ることができるようになる。
自分をマシンの一部として考える
目標達成には[マシン]、[デザイン]、[ワーカー]が必要になる。以下が主な役割。
マシン: 目標達成の方法
デザイン: やるべきこと
ワーカー: やるべきことを行う人
例えば、「新しいアプリを作り、リリースする」という目標を決めるとする。
そうすると[マシン]は2人のエンジニアと1人のデザイナー、1人のビジネス担当で構成される。そして、それぞれがやるべき開発やデザインなどのタスクが[デザイン]となり、[ワーカー]はそれらを担当する人となる。
結果と目標を比較してマシンをどう改良するか決める
成功の秘訣は[努力]→[失敗]→[学び]を繰り返すことだが、これはマシンを上手く動かすことにも適用される。
目標達成のために[デザイン]や[ワーカー]をどう改善するか。以下のような図で表すことができる。
マネージャーとしての自分とワーカーとしての自分を区別する
与えられた状況(マシン)の中で高次元から自分を見て、[マシン]のマネージャーとして行動するのは難しいことである。
常に忙しくタスクをこなしていれば、マシンの中のワーカーという視点だけに囚われてしまう。
しかし、成功するには[マネージャーである自分]と[ワーカーである自分]を高次元から客観的に見る必要がある。過度に信用してはならないし、できない仕事を任せてはいけない。
[ワーカー]であるよりも人生の[マネージャー]であることの方が重要だと理解できれば、正しい方向に進んでいる。
人生で成功するための5ステップ
成功するためには5つのステップすべてを、1つずつ順番にこなす必要がある。
目標設定のステップで「どうやって達成するか?」や「達成できなかった場合のリスクヘッジ」などは考えない。ステップを曖昧にすれば、全てが曖昧になり、求めている結果は得られなくなる。
頭をすっきりさせて、一つずつ取り組もう。
1. 目標: 明確な目標を持つ
優先順位をつける
望むものはなんでも手に入れることができるが、全てを手に入れることはできない。一度に多くの目標を追求するとやる気をなくしたり、身動きが取れなくなったりする。選択してどんどん進めていこう。
目標と欲望を混同しない
適切な目標: 本当に達成しなければならないこと
欲望: 目標達成を妨げるかもしれないことを望むこと
健康な身体づくりを目標とすると、おいしいが不健康なものを食べたいというのが欲望。
目標と欲望を調整して本当に求めているものを決める
情熱のない人生は退屈だが、情熱に身を任せて非合理な行動を取るか、やる気を出すのに利用して目標を追求するのか。
満足感を得られるのは欲望と目標の両方がちょうど良いレベルになるときである。
成功のシンボルと本当の成功を間違えない
数値や物質で成果を測るのは重要だ。だが、年収を求めたり、カッコイイ車に取り憑かれる人は滅多に幸せになれない。本当は何を求めているのか、そして何によって満足できるのかを知らないからである。
大胆になる
背が低いのにNBAでセンターになるとか、70歳なのに1マイル(1.6km)を4分で走るとか不可能なことや不可能に近いことはある。
ただし、今の状況で達成できそうにないからといって諦めるのはもったいない。目標に向かって動き始めたらたくさんのことを学ぶことができる。特に他の人とさまざまな角度から検討するとそれまでに見たことのない道が見えてくる。
大きな期待から大きな能力が生まれる
達成可能とわかっていることを目標にすると目標が低くなるし、得られる能力も低くなる。
柔軟な態度と自己責任を全うする気持ちを持つ
柔軟な態度があれば、現実が教えてくれることを受け入れられる。目標達成に失敗し、自分の責任だと思えば改善するチャンスが訪れる。
挫折にどう対処するかを知る
滝に向かっているとわかっていても避けられない時がある。
ひどいときには、「現在あるものを失わないようにする」「損失を最小化する」「取り返しのつかない損失に対応する」といったことが目標になる場合もある。
必ず報われると信じて、どんな場合にもできる限りの最善の選択をすることがあなたの使命だ。
2. 問題: 目標達成の障害となる問題を明らかにし、放置しない
苦痛な問題は改善のチャンス
遭遇しうるどんな問題もチャンスである。だから問題を表面化させることが重要だ。
そうするのが好きな人はいないが、成功する人はそうすべきだと知っている。
問題への対処を避けない
解決困難な問題を考えると心配になる。しかし、それを考えないでいるとさらに心配になる。
自分の才能やスキルの欠如から問題が生じると恥ずかしく思うが、自分の弱みを認めることは敗北することではない。克服への第一歩である。
痛みは「成長の痛み」で人を試すもの。それを乗り越えられれば成長できる。
問題を具体的に特定する
異なる問題には異なる解決方法がある。きっちり細かく見て、原因を特定すること。そしてそれに対する対処法を明確にする。
問題の原因を本当の原因と間違えない
「十分に睡眠が取れない」というのは問題ではなく、問題の原因である。
思考を明確にするために悪い結果を最初に特定しよう。例えば、「仕事の効率が上がらない」というように。
睡眠不足が問題の原因かもしれないが、取り組み方が原因の可能性もある。それを見極めるためにも問題自体が何かをはっきりと理解する必要がある。
大きな問題と小さな問題を区別する
時間とエネルギーには限りがあるため、解決すると大きなリターンが得られる問題を探して投資しよう。
それと同時に小さな問題も何かの崩壊のきっかけではないかを確認するための時間も使うようにする。
問題を特定したら放置しない
問題を放置することはそれを特定できずにいることと同じこと。
解決できないと思うからなのか、解決に必要なものを集められないからなのかはわからないが、解決する気がなければ問題は悪化する。
どんなことでも悪い状況には厳しく、寛容にならないように。
3. 診断: 問題の根本原因を探るために正確に診断する
すぐに解決策を出そうと動くのではなく、根本原因を特定する
厳しい問題がわかるとすぐさまに解決案を出したり、修正に取り掛かるのはよくやる間違いである。
問題解決には診断と計画の両方が求められる。
よい診断を下すにはどの程度詳しくやるか、問題がどの程度複雑化によあるが、通常15分から1時間は必要である。
関係する人と話し、一緒に事実を見て根本原因を特定しよう。原則と同様に根本原因は一見異なる状況と思われながらも繰り返し現れる。それを見つけ、対処法をリストアップしておけば、永遠にその問題を恐れることはなくなる。
直接的原因と根本原因を見分けるように
直接的原因は問題を引き起こす行動である(電車の時刻表をチェックしなかったから電車に乗り遅れた)。
しかし、根本原因はもっと深いところにある(私は忘れっぽいから電車の時刻表をチェックしなかった)
本当に問題を解決するには根本原因を取り除かなければならない。
人物像(自分を含め)を知り、仲間から何を期待できるか理解する
可能性を最大限に生かしている人とそうでない人の違いは、自分自身や他人を客観的に見て、障害となっている根本原因を理解しようとするかどうかの違いである。
4. 策定: それらの問題を回避するように計画を策定する
前進する前に一歩退く
今日に至るまでのことを振り返り、目標に到達するために今後何をすべきかを描く。
問題はマシンが作り出した結果と考える
マシン(目標達成の方法)を高次元から見下ろして、より良い結果を生み出すためにはこのマシンをどうデザインし、作業させるべきか考える。
目標達成には多くの方法があると覚えておく
ある前提や論点に固執しすぎると方法が少なく見えてしまうが、目標達成には多くの方法がある。
計画を映画の脚本と考え、時間軸で誰が何をするかを描く
最初は計画をざっと作ってみてそれから微調整していく。(例えば「優秀な人材を採用する」など)
大局観を描いてから個別の課題に落とし込んで、どのくらいの時間がかかるか考えよう。(例えば「これから2週間のうちに優秀な人材を探してくれる人材紹介会社を選定する」など)
これをやれば間違いなく、「コスト」「時間」「人員」など問題が表面化してくる。そうすることによってデザインがより高度になり、マシンも効率的になっていく。
誰が見ても進捗状況をチェックできるように計画を書き出す
これを行うには誰が何の任務をいつ行うかという細かなところまで書き出す。
良い計画を策定するにはさほど時間はかからない
計画にほとんど時間をかけない人がいるが、計画にはさほど時間はかからない。
計画を立てずに実践をして多くの時間を無駄にするのなら、前もって時間を使い、計画を立てる方が良い。
5. 実行: その策定から結果が出るように実行する
素晴らしい計画でも実行しなければ意味がない
計画をやり遂げるには自分の書いた筋書き通りに行動する自制心が必要。
達成しようとしている目標と今こなしているタスクの関係を忘れていると感じた場合は、「なぜやるんだ?」と自問しよう。
良い働き方の習慣を作る
これは散々このブログで発信していることなので以下の記事を読むと良いかと思います。
明確な判断基準を作る
誰か別の人が客観的に測定して進捗状況を報告する方が理想的。
目標値をクリアしていないのは分析して解決しなければならないのでまた別の問題として2のステップへ行く。
5ステップ全てをうまくやるのは不可能
人によってそれぞれのステップごとに向き不向きがあるので以下のことに気をつけた方が良い。
5ステップのどのステップで失敗しそうかを見つける
それぞれのステップごとに異なる考え方を必要とする。
例えば1の目標設定では「可視化」「優先順位付け」など高次元の思考に優れている必要がある。
3の問題を診断するためには「論理的な思考」「様々な可能性を探る能力」が必要。他のステップにもそれぞれ多くの思考や能力が必要になるが、全ての能力をもっている人は絶対にいない。
誰にでも弱点があるので謙虚になり、他人のフィードバックを求めよう。
人間が必ず持つ成功を妨げる問題を見つけ、対処する
大きな問題をまず書き出す。(例えば「問題特定」「解決策の策定」「結果を出すこと」など)
そしてなぜその問題が存在するのかも書き出す。(「感情に流される」「粘り強さが足りない」など)普通は1つ以上大きな問題を抱えているが、取り除く、または回避することができれば人生は大きく改善する。
直すこともできるが、他人の力を借りることでうまく対処することができるということも頭に入れておこう。
他人の力を借りる場合には謙虚さが重要。謙虚さは自分自身を改善することと同じかそれ以上に重要なことも覚えておく必要がある。
『プリンシプルズ 人生と仕事の原則』を読んだ個人的感想
1つ目は「人生の原則を付け加えていくことによって意思決定の精度を高めることができる」ということでObsidianに[人生の原則]というフォルダを作り、毎日見る習慣を作ることに決めました。
Obsidian Query Languageというプラグインを使えば、特定のフォルダの中身をランダムに表示してくれるようなので、運用が上手く行きそうだったらまたシェアします。
2つ目の「目標を[マシン]、[デザイン]、[ワーカー]の3つで見立てる」ということは中々面白い視点だなと。
何かが上手くいかなくてもマシン、つまり自分が作った目標達成の方法をチューニングしていくだけで良いと捉えられます。(言うが易しですが)
3つ目は「直接的原因と根本原因を見分けること」。これはトヨタの生産方式で有名な「なぜを5回繰り返す」の本質だなと思いました。
5回なぜを繰り返す中で問題の原因を分解したり、掘り下げていくことによって一番問題になっている根本原因を見つけることが可能なので今後は「5回のなぜ」を利用して根本問題を発見していこうと思います。
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