【完全解説】「イシューからはじめよ」要約 | バリューのある仕事と生産性の本質

【完全解説】「イシューからはじめよ」要約 | バリューのある仕事と生産性の本質
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問題解決、論点設定の書籍として高い評価を誇り、全ビジネスマンが読むべきとも言われているこの書籍を再読しました。

大学生の頃には「なんか頭良さそうなこと言ってるけどよくわからんなー」ぐらいしか思わなかったのですが、社会人として数年働いたあとに再度読み返すと学びの宝庫でした。

まとめながら読んだので図解を交えて解説していきます。

目次

常識を捨てる5つのアプローチ

「イシューからはじめよ」の核心は、問題解決に対する従来のアプローチを根本から見直すことにある。下記5つが本書を表す大まかなキーワード。

  1. 「問題を解く」より「問題を見極める」
  2. 「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」
  3. 「できるだけ情報を集める」より「知りすぎるとバカになる」
  4. 「1つ1つを速くやる」より「やることを削る」
  5. 「数字の桁数にこだわる」より「答えが出せるかにこだわる」

バリューのある仕事の本質

生産性の再定義

本書によれば真の生産性は次のように定義される。

生産性 = アウトプット / インプット = 成果 / 投下した労力・時間

少ない労力・時間を投資して、大きな成果を得る。当たり前のことのように思えるが、ただがむしゃらに働き、成果さえ出せればいいという価値観に疑問を呈している。

イシューの定義と重要性

次にイシューは、以下のように定義される。

  1. 2つ以上の集団の間で決着がついていない問題
  2. 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

脱「犬の道」

まず、バリューの高い仕事とは、イシュー度が高く、同時に解の質も高い領域に位置するものである。

そして「犬の道」とは、イシュー度を高めずに一心不乱に働くことで、解の質とイシュー度を高めようとするアプローチ指す。これは、バリューのマトリクスでいうと左下から左回りで右上に到達しようとすることに例えられるる。

著者は、この「犬の道」から脱却し、「自分が思いついた問題の中で本当に答えを出す価値のあるものは何か」を考え、根本的なイシューの質を上げていくことを提唱している。これにより、一つの問題に投下できる時間が10-20倍になるとされる。

バリューのある仕事のマトリクス

イシュードリブン: 「解く前」に「見極める」

仮説を立てる重要性: スタンスをとる

イシュードリブンのアプローチでは、問題に取り組む前に仮説を立てることが極めて重要になる。以下が仮説を立てることで行える点。

  1. イシューに答えを出せる
  2. 必要な情報・分析すべきことがわかる
  3. 分析結果の解釈が明確になる

仮説がないまま分析を始めると、出てきた結果が十分なのかそうでないかの解釈ができない。例えば、「新しい会計基準について調べておいて」と言われても何をどこまで、どのレベルで調べれば良いのかわからないことから始まる。

そこで、以下のように仮説を立てることでより具体的な分析の方向性が定まる。

「新しい会計基準下では我が社の利益が大きく低下するのでは?」>「新しい会計基準下では我が社の利益に対する影響が年間100億円規模あるのではないか?」>「新しい会計基準下では各事業の会計管理・事務処理において何らかの留意点を持つことでネガティブな影響を最低限にできるのではないか」

仮説を立てる重要性

よいイシューの3条件

本質的な選択肢である

その答えが出ると今後の検討方向性に大きく影響を与えるようなもの。

例えば、商品Aが売れないという場合。
Aに商品力がない or Aに商品力はあるが販売方法が良くない。という2点の問題点が考えられるが、その2点の問題点を吟味することなく、商品はいいのに売り方が悪い。など思い込みで突き進むケースが多い。

深い仮説がある

常識を否定する: 一般的に信じられている信念や前提を突き崩せないかを常に考える。

例えば、

  • 拡大していると思われている市場が、先行指標では大きく縮小している
  • 大きいと思われるセグメントAに対し、収益面ではBの方が大きい
  • 販売数中心で競争している市場だが、販売数のシェアが伸びるほど利益が減る」

など。

新しい構造で説明する: 共通性、関係性、グルーピング、ルールを発見する。

  • 共通性: あの人はメキシコの建国の際に2つの対立陣営を束ねる役割を果たした人 => あの人はメキシコにおける坂本龍馬
    • 腕の構造から翼の構造について洞察することができることが分かれば、進化の比較軸として利用できる
  • 関係性: 全く異なるホルモンに関わる脳内の2つのレセプターの働きに関係性がある
    • AとBが同じ、BとCが反対の行動をしていると分かればAの行動からCの行動を推測できる
  • グルーピング: 市場を何らかの視点に基づいた軸で切り分ける
    • 何らかの軸で切り分けたグループに違う動きがあればそれまでとは違う洞察を得ることができる
  • ルール: 机の上から落ちる鉛筆 = 地球から見る月が安定して浮かんでいる => 万有引力
    • 2つ以上のものに普遍的な仕組み・数量的な関係があると分かれば深い洞察を得ることができる
新しい構造で説明する

答えを出せる

既存のやりかた・技術でも答えが出せるもの。

誰もが答えを出すべきだと感じており、「手のつけようがない」と思っている問題を「自分の手法なら答えを出せる」と感じる「視覚的なイシュー」を発見することが必要。

イシュー特定のための情報収集

1次情報に触れる

  • 販売: 顧客の声を聞く、販売の現場に出向く
  • 商品開発: 商品が使われている現場に出向く、使っている顧客と話す、なぜそれを使うのか、どう使うのか、どんな場面でどう使っているのかを聞く
  • データ: 加工されてない生のデータに当たり、変化のパターンや特徴を見て、理解する

基本情報をスキャンする

  • 事業環境の例(5フォース+)
    • 業界内部における競争関係
    • 新規参入者
    • 代替品
    • 事業の下流(顧客・買い手)
    • 事業の上流(サプライヤー・供給企業)
    • 技術・イノベーション
    • 法制・規制
  • 数字: 基準となる数値の把握
  • 問題意識: 業界の常識、課題とそれに対する今までの対処法と結果

集めすぎない・知りすぎない

情報はあればあるだけいいと思われるが、
集めすぎることで「情報収集にかけた手間にはある程度正の相関関係があるが、一点を過ぎると取り込みのスピードと量が減る」という問題点と、
知りすぎることで「ある量を越すと急速に生み出される知恵が減り、大切な『自分ならではの視点』がゼロに近づいていき、むしろマイナスに働くこともある」という問題点が生じる。

情報を集めすぎない・知りすぎないこと

イシュー特定の5つのアプローチ

変数を削る

以下のようにカテゴリーをより細かくしたり、固定したりする。

  • 商品購買行動 > デジタル家電 > プリンタ、SNS > ミニブログ > 交流サイト

視覚化する

  • 空間的な広がりがある場合はマップ化にする
  • 順番がある場合は図解する
  • 主要な属性の数値がいくつか取れる場合はグラフ化する

など。

最終形から辿る

例えば、自分の事業の 3 – 5年の中期計画の場合、それぞれ以下の答えを出す。

  • 現在の事業の状況(市場視点・競合視点)
  • 事業はどのような姿を目指すべきか
  • 3 – 5年後の目的関数をどう置くか(相対的地位を守るか、市場を活性化するかなど)
  • その時の強み・自社らしい勝ちパターンをどう表現できるか
  • それは数値的にどう表現できるか

So What?を繰り返す

例えば、地球温暖化は間違いという問題について考える場合。

  • 地球温暖化は世界一律に起きているとは言えない
  • 地球温暖化は北半球だけで起きている問題
  • 地球温暖化の根拠とされるデータは北米やヨーロッパのおのが中心であり、地点に恣意的な隔たりがある
  • 地球温暖化を主張する人たちのデータは北米やヨーロッパの隔たりに加え、で0たの取得方法、処理の仕方に公正さを欠いている

極端な事例を考える

要素が多い場合に重要な変数を極端な値にするなど、どの要素が動きのカギになるのかがわかりやすい。

プログラミングでよく使う手法。

イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる

イシューの分解

「このイシューとそれに対する仮説が正しいとすると、どんな論理と分析によって検証できるか」と問いかけ、

  • イシューを答えの出せるサイズ = サブイシューに分解
  • イシューはMECEに+本質的な固まりで分解する = 同じ答えに辿り着かせる

上記二つで分解していく。

例えば、「事業コンセプト」を分解する場合、

  1. 狙うべき市場ニーズ
    • どのような市場の固まり・ニーズを狙うのか
    • どのようなセグメントに分かれ、どのような動きがあるか
    • 時代的に留意すべきことはあるか
    • 具体的にどの市場ニーズを狙うか
  2. 事業モデル
    • どのような事業の仕組みで価値提供を行い、事業を継続的に成り立たせるか
    • バリューチェーン上の立ち位置をどこに置くか
    • どこで顧客を引き寄せるか
    • どこで儲けるか
イシューの分解 - 事業コンセプト

イシューを分解する型

自分の気になる視点や分野別に自分らしい型を作る。

  • Where: どのような領域を狙うべきか
  • What: 具体的にどのような勝ちパターンを築くべきか
  • How: 具体的な取り組みをどのように実現していくか

型がない場合(新規性の高い課題の場合)は逆算する

電子商品券の例。
最後に欲しいものから考える。このケースでは「核となる商品コンセプト」

  1. いつ・誰が・どのような場面で使うものなのか/なぜ俺が既存の支払い手段より役立つことがあるのか
  2. どのようなフィーが発生し、どう役割分担するのか/どう採算を合わせるのか
  3. この枠組みに基づき、どのようにシステムを構築し、運用するか
  4. この電子商品券をどんな名前にして、既存ブランドと同関係づけるのか/ロゴや基本デザインはどうするか/どのようにプロモーションするのか
  5. 使用店舗と発行場所の確定と拡大の目標の設計・推進する「戦略的提携」
  6. 導入店へのオペレーションと本部のメンテナンス・サポート機能を整備する「店舗支援業務の設計」

ストーリーラインの組み立て

仮説と結論だけでは人は納得できないので、理解させるにはストーリーが必要になる。

分解したイシューの構造とそれぞれに対する仮説的な立場を踏まえ、最終的に言いたいことを伝えるためにどのような順番でサブイシューを並べるか考えていく。

ストーリーラインの役割

  • 立ち上げ段階
    • 何が見極めどころで何を検証するためにどんな活動をするか: 目的意識が揃う
  • 分析・検討段階
    • イシューに対する仮説の検証がどこまでできているのかが明確になる
  • まとめの段階
    • プレゼンであればサマリー、論文であれば要約のベースになる

ストーリーラインの二つの型

Whyの並べ立て

  • 以下の理由で案件Aに投資すべき
  • 「なぜ、案件Aに魅力があるのか。」
  • 「なぜ、案件Aを手がけるべきなのか。」
  • 「なぜ、案件Aを手がけることができるのか。」
whyの並べ立て

空・雨・傘

  • 空: 「西の空が晴れている」
  • 雨: 「今の空の様子では、当面雨がふることはなさそう」
  • 傘: 「だとすると、今日は傘を持っていく必要がない」
空・雨・傘

典型的なストーリーの流れ

  1. 必要な問題意識・前提となる知識の共有
  2. 鍵となるイシュー・サブイシューの明確化
  3. それぞれのサブイシューについての検討結果
  4. それらを総合した意味合いの整理

事業コンセプトの例。

  1. 問題の構造
  2. 解くべき問題は「狙うべき市場ニーズ」「事業モデル」という二つの掛け算
  3. 狙うべき市場ニーズ
  4. 事業モデル
  5. 事業コンセプトの方向性
  6. 狙うべき市場ニーズと事業モデルを掛け合わせると有望な事業コンセプトは次の4つ

感想: 問題解決系の書籍はビジネス戦闘力の向上に直結する

個人的に一番学びになった最初の3章の要点をまとめました。

問題解決系の書籍は職種に限らず、ビジネス戦闘力の向上に直結すると思ったので、「イシューからはじめよ」を繰り返し読んで、ベースの知識としつつ、他の書籍も読んでいく所存です。

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この記事を書いた人

人生の最適化を目指すために様々なライフハックを試す男 | QOLを上げる書籍やアイテム、アプリの使い方などを紹介中

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