いくらNotionでタスク管理用のテンプレートを組んでも、やはり、ダラダラしてしまうことが多い私。
藁にもすがる思いでポモドーロ・テクニックの提唱者であるフランチェスコ・シリロが執筆した『どんな仕事も「25分+5分で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門』を読みました。
これを読むまでポモドーロ・テクニックは短い時間集中するだけの単なるテクニックだと思っていましたが、そんな小手先のものではなく、PDCAを回して効率化していく進化する生産性メソッドだったのです。
続ければ続けるほど自分の生産性を最適化し、成長していく感覚が味わえるので何かで成果を出したい人は必ず取り入れるべきメソッドだと思います。
ポモドーロ・テクニックの目的
・時間への不安の緩和
・中断を減らすことによる集中力の向上
・目標達成への意志を強めること
・質・量の両面において見通す力を高めること
・仕事や勉強のプロセスの改善
・複雑な状況の中で粘り強くなる
以上のようなことが挙げられています。
特に〈時間への不安の緩和〉と〈目標達成への意志を強めること〉はポモドーロ・テクニックの真髄とも言えるもので、25分という限られた時間の中で一つのタスクに集中して取り組むことによって、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」といったモヤモヤや「メッセージを確認したい」といった雑念を遠ざけることが可能に。
ただ、ここまでは知っている人も多いのではないでしょうか。ここからがほとんどの人が知らない本当のポモドーロ・テクニックの活用方法です。
ポモドーロ・テクニックの5段階の基本プロセス
以下の表がポモドーロ・テクニックの全体像です。
ちょっとわかりにくいと思うので簡略化すると[計画 → 追跡(実行)→ 記録 → 処理 → 視覚化]ということで、今まで分かった気になっていた25分集中するだけのポモドーロ・テクニックはこの[追跡]の部分だけだったことがわかります。
事前に計画を立て、実行し、記録したデータを処理して、次に生かすことがポモドーロ・テクニックの全体像だったということです。
仕事の在庫と今日やること:計画
ポモドーロ・テクニックは30分を1単位とし、25分間の作業と5分間の休憩から構成されています。
この1単位をどれだけ効率良く、多く行えるようになるかを記録していくことで、仕事を効率化していこうということがポモドーロ・テクニックの真骨頂なので、まずは計画を立てる必要があります。
用意すべきは[仕事の在庫シート]と[今日やることシート]。
[仕事の在庫シート]にはGTDのインボックスのように日頃から思いついたタスクをぶち込んでおき、当日になったら片付けたいと思うものを[今日やることシート]に優先順位が高い順に移していきます。
1ポモドーロが最低単位:追跡(実行)
そして、ポモドーロ・タイマーを始動し、作業を開始します。
25分間のポモドーロを一旦開始すると中断は厳禁です。これを15分や5分に切り分けることもできません。誰かに邪魔をされたり、何かを気になって中断してしまった場合はそのポモドーロは無効になり、最初からやり直し。
1ポモドーロが最低単位です。
タイマーが鳴ったら、その作業が完了してもしなくても[×]印をつけ、5分間の休憩を取ります。
この[×]印が1ポモドーロを意味し、これを毎日タスクごとに記録することによってタスクにかかる時間を見積もれたり、自分の生産性の改善を可視化することができます。
タスクが完了すれば、横線を引いて消し、ポモドーロ中でまだ時間が余っている場合は他の次のタスクに取り掛かります。
また、4ポモドーロごとに1回15分から30分の休憩を取り、セットを決めることも生産性アップに効果的と著者は述べています。
Notionにログを取る:記録
タスクを行いながら簡易的に記録されたデータを元に新たなシートを作りながら、1日の最後に完了したポモドーロの数や読んだページ数やプロジェクトの進捗などを記録します。
スプレッドシートやNotionに記録してデータを溜めていくことで自分の生産性の分析が捗るかと思います。
1日の仕事を分析:処理と視覚化
中断してしまったタスクにダッシュマーク[ – ]をつけたり、1日当たりの平均ポモドーロ数、見積もり時間と実際にかかった時間のギャップや見通しの立て直しが必要になった回数などを数値化、視覚化していきます。
こういったことを毎日、毎週確認し、「何がタスクを順調に進めている要素なのか、逆に省ける要素はないか」といったことを分析していくことで、生産性がどんどん向上していくでしょう。
実際にNotionでポモドーロ用のシートを作成してみました。今度詳しい記事で紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
ポモドーロを中断する要因を排除する
集中を阻害する要因は主に以下の3つ。
- 内的中断
- 外的中断
- 組織的中断
内的中断
自分が立てた1日の予定や決定事項について考え直そうとしたり、SNSが気になったり、机の上を片付けなきゃといった頭の中のモヤモヤによる中断のこと。
外的中断
一緒に勉強をしている相手から質問されたり、同僚がリポート作成の依頼に来たり、メールの着信音がなることによる中断のこと。
組織的中断
会社のメールや電話、会議など組織上の要件のために発生する中断のこと。
以上のようなことから集中力を守るためにざっくり以下の方法で対処しようと著者は述べています。
・ [今日やることシート]のタスクにアポストロフィ(’)を事前に書き込む
・[仕事の在庫シート]に書き入れる
・[予定外&緊急]の欄に気になったことを都度書き込む
・思い付いた緊急度の低いものを次のポモドーロへ先送りにして、本当にやらなければならないのか見極める
ポモドーロの改善
これらの改善は特に勉強でポモドーロ・テクニックを活用する時において効果的なのかなと感じています。
1ポモドーロの構成を改善
新しいポモドーロに入る際、最初の3~5分間をそれまでに学んだことの復習(直前のポモドーロで学んだことだけでなく)に充て、記憶に定着させるようにする。そして、最後の3~5分間をそのポモドーロで学んだことの復習に充てる。
25分間というポモドーロの単位を変えずに最初と最後の3-5分を総復習と小復習に充てることでインターバルで学習・仕事内容が浸透し、ポモドーロ・テクニックのリズムが生み出されていきます。
1セットの構成を改善
4回のポモドーロを1セットとすることが生産性アップに効果的と述べましたが、その1セットの構成も最初のポモドーロをこれまでのセットの総復習に充て、最後のポモドーロをそのセットの小復習に充てます。
そうすることで[オーバーラーニング(過剰学習)]の効果が生まれて、新しい知識の獲得が促されるとのこと。
予定表の重要性
予定表によって、仕事の時間と自由時間が区切られる。後者は、目標や計画のない活動のための時間と言える。この余暇の時間は心の糧になる。それがないと創造性や関心、好奇心が失われ、エネルギーが減る一方になってしまう。ガソリンがなければエンジンは動かない。
どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門
予定表の重要性を軽んじてしまい、「今日は遅くまでやって、無駄にした時間を取り戻そう」といって予定の時間を破り、時間を後ろ倒ししてしまう。そんな経験誰しもあると思います。
そうすると結局、今日の夜も明日の夜も明後日の夜も能率が下がることになり、時間の後ろ倒しが増えるほど罪悪感が増していき、危険な悪循環に陥ってしまうと著者は語ります。
時間割を守ることによって、[あと5分症候群]に対する免疫が高まっていき、予定表の最後の時刻、つまり最後のポモドーロのタイマーが鳴ったら、すべての活動は終了するということをきっちり守る必要があると。
1つのポモドーロ内で時間前に今日やるべき全ての作業が完了した場合にもこれを守る必要があり、常に予定表がポモドーロよりも優先されなければならないとのことです。
以下筆者が出している予定表の例。
1日をすべて勉強に充てられるという場合、たとえば8時30分~12時30分、13時30分~17時30分という予定を立てる。
どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門
この場合、午前も午後も4ポモドーロと3ポモドーロのセットになる。つまり[4][3]:[4][3]だ。
休憩の時間もそれに従う。各セット内のポモドーロをさらにまとめることもできる。
たとえば、第1セットの最初のポモドーロをその日の計画づくり、あとの3ポモドーロと第2セットの最初の2ポモドーロを新しい事柄の勉強に充て、最後のポモドーロをメールのチェックや返信、留守番電話のチェックや電話連絡などに使うことができる。
まとめ: ポモドーロ・テクニックは改善することで進化する
・ポモドーロ・テクニックには5段階の基本プロセス[計画 → 追跡(実行)→ 記録 → 処理 → 視覚化]がある
・この5段階プロセスを繰り返すことによってポモドーロ・テクニックを改善し、進化させていく
・ポモドーロ・テクニックは30分を1単位とし、25分間の作業と5分間の休憩から構成されている
・[仕事の在庫シート]と[今日やることシート]を用意し、タスクを進める
・集中を阻害する3つの要因を排除する
・予定表が何よりも優先される。時間の後ろ倒しは必ず避ける
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