「え、この指示だけでもうこんなとこまで開発できたの?」 今、世界中の開発者・ビジネスマンから熱い視線が注がれているのが「Replit」です。
本記事では、ブラウザ完結型の開発環境、Replit Agent、Replit Assistant、AIによるコード生成、そしてその二つの機能の使い分けまでReplitの基本を徹底的に解説します。
Replitを使いこなして、一緒に開発にチャレンジしてみましょう!
「Replit」3つのポイント
1. AI搭載のIDE。誰でも、どこでも、簡単に開発可能
2. Replit Agentにより、完全自動で新規アプリを作成
3. Replit Assistantにより、既存コードの改善、エラー修正、機能追加をAIでサポート
Replitとは?
Replitは、ブラウザ上で手軽にプログラミングを始められる、革新的なクラウドベースの統合開発環境(IDE)です。
アメリカのサンフランシスコに拠点を置く企業が提供しており、2016年にAmjad Masad氏、Faris Masad氏、Haya Odeh氏によって設立されました。
従来の開発環境のセットアップは不要で、インターネット環境とブラウザさえあれば、すぐにコードを書き始めることができます。
さらに、最近注目を集めているのは、Replit Agent機能とReplit Assistant機能です。自然言語で指示を出すだけでコード生成や修正が可能になり、プログラミング初心者を中心に幅広い層にとって強力な開発ツールとなっています。
Replitの企業情報
設立年 | 2016年 |
創業者 | Amjad Masad、Faris Masad、Haya Odeh |
本社所在地 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンフランシスコ |
CEO | Amjad Masad |
従業員数 | 100名~500名 |
総調達額 | 2億2,202万ドル |
主な投資家 | Y Combinator、Andreessen Horowitz、Khosla Ventures、Craft Ventures、SV Angel など |
公式サイト | Replit – Build apps and sites with AI |
Replitが多くのユーザーに支持され、注目を集めている理由として「開発の民主化を引き起こし、誰でも、どこでも、簡単に開発できるようにした」ということが挙げられます。
以下がReplitのビジョン。
Empowering the next billion software creators
We build a powerful, simple platform for software development and deployment.訳: 次なる10億人のソフトウェアクリエイターに力を与える
私たちはソフトウェア開発とデプロイのためのパワフルでシンプルなプラットフォームを構築します。
About – Replit
以下のような創業エピソードもあります。
Replitの道のりは決して平坦ではありませんでした。創業者のAmjad Masad氏は、オンラインREPLのアイデアをY Combinatorに持ち込むも、「単なる面白いおもちゃ」と一蹴されます。それでも諦めずに開発を続け、初期はコード評価インフラのAPI販売で収益化を試みるも、無料サービスの成長に追いつかず苦戦。資金調達でも困難に直面し、YCへの申請は3度も却下されます。
しかし、転機は突然訪れます。Sam Altman氏からのコンタクトをきっかけに、Paul Graham氏とのメール交換が始まり、そのアドバイスと поддержки を受け、再びYCへの申請を決意。締切間近の申請、そして迎えた面接。冒頭で「なぜ私たちをRick Rollしたんだ?」と問われるなど、波乱の幕開けでしたが、その後の情熱的なプレゼンテーションが評価され、見事YCへの参加を勝ち取ります。
この経験は、Replitが単なる技術的なプラットフォームではなく、創業者たちの情熱と粘り強さ、そして革新的なビジョンによって生まれたものであることを物語っています。
この創業ストーリーは面白かったのでぜひチェックしてみてください。
Replitの基本機能と特徴
ブラウザ完結型の開発環境
Replitの基本的な機能は、ブラウザさえあれば、すぐに開発をスタートできる手軽さです。
- インストール不要: ソフトウェアのダウンロードや複雑な設定は一切必要ありません。
- どこでもアクセス可能: インターネット環境とブラウザがあれば、どこでも開発可能。カフェでも、自宅でも、移動中でも、思いついた瞬間にコードを書き始められます。
- 直感的な操作性: まるでGoogleドキュメントのように、ブラウザ上でコードの編集、実行、デバッグが直感的に行えます。
上記は単純なIDEと同じなのですが、これに加え、以下で紹介するReplit Agent機能があることにより、Replitをここまで世界的に注目させるプロダクトにしました。
Replit Agent: AIによる開発の完全自動化
2024年9月にリリースされたReplit Agent機能によって、Replitを単なるクラウドIDEから、AIを活用したフルスタック開発プラットフォームへと進化させました。
- 自然言語でのコード生成: 「〇〇のようなWebサイトを作って」といった指示を出すだけで、Replit Agentがコードを自動生成してくれます。
- コードの修正と説明: 既存のコードに対して「この部分を修正して」と指示したり、「このコードは何をしているの?」と質問したりすることが可能です。Replit Agentがコードを理解し、修正や解説を行います。
- 設計から実装、デプロイまで: Replit Agentは、アプリケーションの設計、コードの実装、そしてクラウドへのデプロイまで、開発の全工程をAIがサポートし、自動化を推進します。
これらの革新的な機能により、Replitは開発のスピードを劇的に向上させ、これまで以上に創造的な作業に集中できるようになりました。
プログラミング未経験者でもReplit Agentの力を借りれば、アイデアをすぐに形にできます。Replitは開発におけるパラダイムシフトを起こしていると言えるでしょう。
Replit Assistant:AIがコーディングを強力にサポート
Replit Assistantは、コーディング作業を効率化させ、スキルアップを支援するAIツールです。まるで優秀なベテランエンジニアが隣でアドバイスしてくれるように、コーディングをサポートしてくれます。
主な特徴:
- 自然言語による対話的な操作: チャット形式で質問したり、指示を出したりできるため、プログラミング初心者でも直感的に操作できます。
- チャットした内容に基づいてコードを修正: ユーザーのエラー修正指示や機能追加依頼に即座に実装方法を設計し、どのようにコードを追加するか共有してくれます
- 変更したコードの確認: 実際にどこを変更し、なぜこの変更を加えたかを説明してくれるのでプログラミング学習にも最適でしょう。
その他Replitの主要機能
Replitは、AI支援機能以外にも、開発を効率化するための様々な機能を搭載しています。
- GitHub連携: GitHubリポジトリとの連携により、バージョン管理が容易に行えます。ローカルに落として、チームで共同開発したりなどもスムーズに進められます。
- 統合開発ツール: デバッガー、ターミナル、データベース、プレビュー画面など、開発に必要なツールが全てReplit内に統合されています。他のツールを行き来する手間が省け、開発に集中できます。
- ワンクリックデプロイメント: 作成したアプリケーションをワンクリックで簡単にデプロイできます。インフラの知識がなくても、すぐに世界に公開できます。
Replitの料金体系
Replitは、無料プランから、より高度な機能を利用できる有料プランまで、幅広いニーズに対応した料金体系を用意しています。
Replitの最大のコア機能であるReplit AgentはReplit Coreに登録する必要があるので、無料版で使えるのはIDE機能だけだと思っていた方が良さそうです。
有料プランの詳細:個人の利用からチームでの開発まで
より高度な機能やリソースを必要とするユーザー向けに、Replitは2つの主要な有料プランを提供しています。
項目 | 無料プラン (Starter) | Core ($15/月) | Teams ($40/月/ユーザー) |
---|---|---|---|
月額料金 | 無料 | $15 | $40/ユーザー |
毎月付与クレジット | – | $25相当 | $40/ユーザー相当 |
AIチャット | 制限あり | 無制限 | 無制限 |
非公開プロジェクト | 不可 | 可能 | 可能 |
メンバーサポート | – | 利用可能 | 利用可能 |
プロジェクト数 | 公開プロジェクトのみ | 無制限(公開・非公開) | 無制限(公開・非公開) |
チーム向け管理機能 | – | – | 利用可能 |
ロールベースアクセス制御 | – | – | 利用可能 |
プライベートデプロイメント | – | – | 利用可能 |
集中請求と管理 | – | – | 利用可能 |
コンピューティングリソース | 制限あり | より強力なリソース | 最も強力なリソース |
ユースケース | お試し、個人学習 | 個人開発、非公開プロジェクト | チーム開発、エンタープライズレベルの利用、高度な管理機能、高パフォーマンスな環境での開発 |
各プランの詳細
Core ($15/月):
- 主な特徴:
- 毎月$25分のクレジット付与: Replitの各種サービス(AI機能など)を利用できるクレジットが付与されます。
- AIチャットの無制限利用: Replit AgentやReplit Assistantをより頻繁に利用したい場合に最適です。
- 高性能AIモデルの利用: Claude Sonnet 3.5とGPT-4を利用できます。
- 非公開プロジェクトの作成: 個人でじっくり開発を進めたい場合に便利です。
- メンバーサポート: 困ったときにサポートを受けられます。
- 公開・非公開プロジェクト無制限: プロジェクト数を気にせず開発に集中できます。
- こんな方におすすめ: 個人でReplitを本格的に活用したい方、AI機能を最大限に利用したい方、非公開でプロジェクトを進めたい方。
これは年契約の値段なので、月契約になると$10増しの$25/月になります。
Teams ($40/月/ユーザー):
- 主な特徴:
- 毎月$40分のクレジット/ユーザー: チームメンバーそれぞれにクレジットが付与されます。
- チーム向け管理機能: チームメンバーの管理や権限設定など、チームでの利用に必要な機能が充実しています。
- ロールベースのアクセス制御: プロジェクトへのアクセス権限を細かく設定できます。
- プライベートデプロイメント: 開発したアプリケーションをプライベートな環境にデプロイできます。
- 集中請求と管理機能: チーム全体の利用状況を一括で管理できます。
- より強力なコンピューティングリソース: より高度な処理能力が必要なプロジェクトに適しています。
- こんな方におすすめ: 複数人でReplitを利用して開発を行いたいチーム、企業。より高度な管理機能やリソースを必要とする場合。
とりあえずはReplit Coreで
とりあえず個人で利用する場合は、Replit Coreを選べば良いでしょう。
Coreでプロダクトを作り、割と世の中から反応をもらえ、より大規模に、チームで開発したいと思った時に加えて、Replitの基本的な機能や使い心地を体験して、他のBoltやLovableでも比較した結果、一番良いと感じ時のみTeamsプランを使うことになるでしょう。
- とりあえずReplitのUIに慣れたい、なんでもいいのでIDEを探している: 無料プラン (Starter)
- 個人でReplitを本格的に活用したい、AI機能を最大限に利用したい場合: Coreプラン
- 複数人でReplitを利用して開発を行いたい場合: Teamsプラン
総じてほとんどの人はCoreプランを選択すれば良いかと思います。
Replit AgentとReplit Assistantの使い分け
今まで紹介したReplitのコア機能である「Replit Agent」と「Replit Assistant」にはそれぞれ得意な領域が異なるので、目的に応じて使い分けることで、開発効率を最大化できます。
基本的な役割の違い:新規開発 vs. 既存コードの改善
機能 | Replit Agent | Replit Assistant |
---|---|---|
主な役割 | 新規アプリケーションの作成(0→1の開発) | 既存コードの改善・機能追加(1→10の開発) |
得意なこと | プロトタイプ作成、初期開発、フルスタック構築 | エラー修正、コード最適化、機能実装、バグ修正 |
イメージ | スタートアップのCEO、プロジェクトの立ち上げを支援 | リードエンジニア、日々のコーディングをサポート |
Replit Agent:ゼロからアプリケーションを生み出すスタートアップのCEO
Replit Agentは、コードを書けるスタートアップのCEOのように、何もない状態からアプリケーションの設計図を描き、土台を築き上げることに長けています。自然言語による指示に基づき、フロントエンドからバックエンド、データベースまで、アプリケーション全体を自動で構築できます。
Replit Assistant:コーディングを支えるAIリードエンジニア
一方、Replit Assistantは、リードエンジニアのように、既存のコードを理解し、改善提案や修正、機能追加といった具体的な作業をサポートします。エラーの原因特定や修正、コードの品質向上など、日々のコーディング作業を効率化してくれます。
具体的な使用シーン: AgentとAssistantの使い分け
Replit Agentが活躍する場面
- 新規プロジェクトの立ち上げ時: アイデアをReplit Agentに伝えるだけで、プロジェクトの骨組みを瞬時に作成できます。
- プロトタイプの高速作成: 短時間でアプリケーションのモックアップやプロトタイプを作成したい場合に最適です。
- ビジュアル要素を含む開発: ユーザーインターフェースのデザインや実装も得意としています。
- データベース連携が必要な場合: データベースの設計から連携まで、Replit Agentがまとめて面倒を見てくれます。
- 技術選定に迷う時: Replit Agentに相談することで、適切な技術スタックの提案を受けられます。
Replit Assistantが活躍する場面
- コードの品質向上: コードのレビューやリファクタリングの提案を受け、より洗練されたコードに書き換えられます。
- バグの発見と修正: エラーメッセージをReplit Assistantに伝えることで、原因究明と修正方法のアドバイスを得られます。
- 既存機能の拡張: 新しい機能を追加する際に、適切なコードの記述方法を教えてもらえます。
- コードの理解を深めたい時: 複雑なコードについて質問することで、Replit Assistantが分かりやすく解説してくれます。
- 学習目的での利用: コーディングのベストプラクティスを学びたい場合に役立ちます。
AgentとAssistantの利用コスト
Replit CoreプランでReplit AgentとReplit Assistantが利用できますが、以下のような利用枠があります。
- Coreプラン ($15/月) に含まれるもの:
- Agent チェックポイント: 100回/月(アプリケーションの作成や大きな機能の実装に使用)
- Assistant 編集リクエスト: 500回/月(コードの修正や提案の依頼に使用)
上記利用枠を超えた場合は、追加料金が発生します。
- 追加料金:
- Agent チェックポイント: $0.25/回
- Assistant 編集リクエスト: $0.05/回
効果的な併用方法:最強のAI開発チーム
Replit AgentとReplit Assistantは、単独で利用するだけでなく、連携させることで、より強力な開発体制を構築できます。
- 開発フローに沿った連携:
- 初期構築: まずReplit Agentでアプリケーションの基本的な構造を作成します。
- 詳細設計・実装: Replit Assistantを使って、細部の調整や機能の実装を進めます。
- テスト・デバッグ: Replit Assistantにエラーチェックや修正を依頼します。
- 新機能開発・既存機能改修を加速:
- 新機能開発: Replit Agentに新機能の設計と実装を依頼します。
- 既存機能の改善: Replit Assistantにパフォーマンス改善やUI/UXの向上を依頼します。
- デバッグを効率化:
- ピンポイント修正: Replit Assistantに具体的な修正方法を教えてもらいます。
例:
「ToDoリストアプリを作りたい」と考えた場合
- Replit Agent: 「ToDoリストアプリを作って」と指示し、基本的な画面構成やデータモデルを自動生成。大まかな機能の全てが揃うので大枠が完成します。
- Replit Assistant: 作成した土台ではいくつか不具合があったり、追加したい機能が出てくると思うので、「〇〇の機能を追加して」と指示したり、「この部分のコードを修正して」と依頼し、完成度を上げていきます。
このように、Replit Agentで大枠を作成し、Replit Assistantで細部を磨き上げ、完成度を上げていくといった使い分けが効果的です。
Replitの使い方に関するまとめ
この記事では、完全自動のフルスタックAI開発ツール「Replit」の使い方について、基本的な機能を中心に解説しました。 要点は以下。
- Replitの基本的な特徴: 環境構築不要、ブラウザで即開発開始できるクラウドIDE。AI支援機能が特徴。
- Replit Agent: 自然言語指示で新規アプリを自動生成。プロトタイプ作成や初期開発に最適。
- Replit Assistant: 既存コードの改善、エラー修正、機能追加をAIがサポート。日々のコーディングを効率化。
- 料金体系: シンプルなIDEの無料プランから、AI機能充実のCore、チーム向けTeamsまで、用途に合わせて選択可能。万人におすすめなのはCore。
- AgentとAssistantの使い分け: Agentは大枠の作成、Assistantは完成度を上げることと役割分担で開発効率UP。
ReplitはCEOやBlogなど情報発信も活発に行なっているので、定期的にチェックすると良いと思います。
私はBlack Friday時にCoreプランを年間契約したのでReplitマスターを目指すつもりです。
Replitを使った開発の進捗などはnoteにて公開していくのでぜひチェックしてください!
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